不動産コンサルティング
不動産コンサルティングの実務について
第4章 所要資金の調達方法 4-1
1. 概説
(1) 所要資金の把握
土地の有効利用事業を行う上では、所要資金を把握して、その調達方法を決める必要があります。
所要資金の大部分は建物や施設の建設費であるが、このほかにも近隣対策費、土壌汚染の改良・地下埋設物の撤去・遺跡調査など様々な付帯費用が生じます。
また、事業に投下した資金は、原則として稼働後の事業収入から回収されるため、想定される事業収支を検証しながら、投下可能な資金を検討することとなります。
(2) 資金調達の手段
A. 借入金による調達
資金調達の手段としては、借入金を中心とするのが一般的です。しかし、借入金の元本返済及び利払いは有効利用事業の収入の中から行うため、金利負担を伴う借入には限度があります。できれば収入から支出を差し引いた剰余金がプラスとなる範囲に借入金を抑え、残りを借入金以外の方法で検討すべきです。
B. 建設協力金による調達
建設協力金による資金調達は、店舗となる建物の建設所要資金の大半を、出店するテナントから事業主が借入れるもので、建設協力金の返済方法や利息については、賃貸借契約と合わせて取り決めることとなります。ロードサイド型店舗やショッピングセンターなど飲食、物販系の商業施設をテナントとする場合に用いられる方法です。
C. 土地信託の活用(間接調達)
事業主が資金を調達するのではなく、資金調達も含めた事業化全体を信託銀行に任せる方法として土地信託があります。土地所有者は信託銀行に対象地を信託すれば、後は信託銀行が直接に事業の当事者となり、資金調達も信託銀行が行います。詳細は3の(6)「信託勘定による調達」を参照。
2. 具体的な所要資金
(1) 資金計画表
次の資金計画表(例)の上段部分は、初期投資としての所要資金の内訳です。
資金計画表(例)