不動産コンサルティング 

不動産コンサルティングを依頼したい方

1-5「不動産コンサルティング」には報酬を支払わなければなりませんか。

「コンサル営業」という言葉があるように、業務や商品の受注などを促進するために行われる”コンサルティング”は営業活動の一環ですから、報酬を支払わない(請求されない)のが一般的かもしれません。しかし、不動産コンサルティングは、本来、媒介業務の受注や建築工事の請負などが業務の目的ではないはずです。また、誰かに何らかの仕事を依頼し、その人が依頼した仕事を遂行してくれたら、その対価として報酬を支払うのはごく当たり前のことではないでしょうか。
このようなことを踏まえ、『不動産コンサルティング制度検討委員会報告書』では、企画提案型の不動産コンサルティング業務について報酬を得るには、その業務の独立性と報酬受領について社会的認知を得ることが必要であるとし、そのための基本的条件(内容要件)として次の3点を挙げています。

(1)不動産に係る依頼者の広義の意思決定に係る助言・提言を行う業務として、宅地建物取引業法上の宅地建物取引主任者業務である不動産の売買・交換や売買等の代理・媒介業務から分離・独立したものであること。
(2)不動産開発業務や管理業務などとも業務範囲を異にし、かつ、これらの業務の受託を前提としない固有の業務であること。
(3)その成果について依頼者が報酬を支払うに足りる新たな付加価値が認められる内容であること。

さらに、以上の基本的条件を満たすスキームとして次のような要件(手続要件)を満たす必要があるとしています。

(1)不動産コンサルティング業務の受託にあたっては、依頼者に対し、事前に業務の範囲・内容、費用・報酬額の見積書等を提示、説明し、報酬受領に関して依頼者の理解と納得を得ること。
(2)不動産コンサルティング業務を受託するときは、業務委託契約が締結され、かつその契約書には、業務内容及び費用・報酬額が明示されていること。
(3)不動産コンサルティング業務受託の成果物は、企画提案書等の書面で交付し説明すること。

すなわち、基本的条件を充たすスキームの要件(手続要件)は、1,事前説明、2,契約締結、3,成果物の書面化の3つということになります。
なお、建設省不動産業課(当時)は、平成11年9月27日付の都道府県及び業界団体あての事務連絡「不動産コンサルティング技能試験・登録事業と宅地建物取引業の関係について」において、「不動産コンサルティングを行って報酬を受けた後、当該コンサルティングの成果に即して宅地建物の売買の媒介等を行ってさらに報酬を受けた場合これらの報酬の合計額が宅地建物取引業法上の報酬の上限を超えていたときは同法に違反したことになるかという点が問題となりうる」とし、不動産コンサルティングに関し、宅地建物取引業法とは別個の業務と判断されるためには、次の3つの条件を満たしていることが望ましいとしています。
(1)コンサルティング業務の受託に当たり、当該業務の成果に即した宅地建物の売買の媒介等の依頼を前提とするものではない旨、委託者に対し十分説明が行われていること。
(2)コンサルティング業務委託契約が書面で締結され、(1)の趣旨が契約書上明らかであること。
(3)業務の成果物が書面で提供されていること。

いずれにしても、業務委託契約を締結することが前提となりますが、企画提案書等が提出され十分な成果が認められましたら、契約に則って報酬をお支払いください。